自宅で新幹線 広島

選ばれた私は、長年の念願がかなって、いささか興奮気味だった。 四川省の省都・成都を飛び立ったジェット機は、緑一色の田園地帯を飛び越え、まもなく白一色の大山岳地帯にさしかかった。

白銀に輝く峰々がまばゆく、サングラスなしでは正視できないほどだ。 左側の窓から望む高峰は、ミ二ア・コンカ(7555メートル)で、鋭い峰が群を抜いて高く突き出ている。
やがて同じ側の窓から、雲海上にゴッゴッ頭を突きだしたナムチャ・バルワ(7756メートル)が見え始めた。 これらの大山群は間に深い渓谷を刻み込み、長江やメコン川の源流地帯となっている。
成都を出てから2時間足らずで、ラサ市のコンガ空港に着陸した。 Kが4年の歳月をかけて、苦難の末にラサに潜入したことや、続いて青木文教や多田等観らの日本僧がけわしい山や谷を越えて徒歩でたどり着いたことを思うと、歴史の流れを感じないわけにはいかない。
車や飛行機がなかった時代とはいえ、彼らの不屈の執念には頭の下がる思いがする。 強烈な太陽、紺碧の青空の下、カメラを手にタラップをかけ降り、チベットへの感激の第一歩を踏み入れたとたん、高鳴る鼓動に息苦しく、目まいがしそうだ。
それもそのはず、標高が3700メートルなのだ。 いきなり走ろうものなら、ぶっ倒れるだろう。
深呼吸を繰り返し、やや落ち着いて周囲を見渡すと、空港はヤルッァンポ川沿いの河川敷にあって、空港事務所以外には建物はほとんど見当たらない。 広々とした盆地が続き、周囲を白い山なみがとり囲んでいる。
ここから人口約14万人のラサ市の中心まで、はるか北東へ20キロの道のりである。 私たちを乗せたマイクロバスは舗装道路を西へ進み、ヤルッァンポ川にかかる立派な鉄製の曲水橋を渡ってから、進路を北東に転じた。
空港から1時間40分ほどで、ラサ市内に入った。 意外にも近代的なビルが立ち並んでいる。
やがて岩山の上にそびえ立つポタラ宮殿が迫ってきた。 これこそチベットの象徴である。
夢にまで見た、あこがれのポタラ宮殿を見上げると、胸が熱くなった。 私たちが案内された宿舎は、中心街から西へ6キロ離れた、外国人専用宿泊所の旅遊局賓館。

美しく紅葉したポプラ並木に囲まれ、静かな雰囲気が気に入った。 まず初めに、ラマ教の大本山として有名なジョカン寺(大昭寺)の見学に出かけた。

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